オーガニックは本当に意味がないの？定義と選び方を徹底解説

「オーガニックって本当に意味あるの？」

「値段が高いだけで効果は変わらないんじゃないか…」

オーガニック食品は一般的な食品に比べて価格が高い場合が多く、本当に効果があるのか疑問に感じるのは無理もないでしょう。しかし、オーガニックは「意味がない」というのは誤解です。オーガニックは健康的に暮らすための選択肢の一つであり、持続可能な社会に貢献しています。

そこで今回は、オーガニックの定義や選び方、メリットやデメリット、賢く買う方法について詳しく解説します。

この記事を読むことでオーガニックの真の価値を理解することが可能です。オーガニックという選択が健康と環境を守るための重要な選択となるきっかけになるでしょう。 

オーガニックとは

オーガニックとは化学肥料や農薬を使用せず、自然界の生態系を維持しながら栽培・生産する農法です。国際基準や国内基準があり、認証制度も確立されています。

次に、オーガニックの定義や基準について詳しく解説します。

オーガニックの定義

オーガニックとして認められるには、国際有機農業運動連盟（IFOAM）が定めた4つの原則と、農林水産省が設けた生産方法の基準をクリアしていることが必要です。

オーガニックの国際的な基準と、厚生労働省が設けた基準の具体的な内容は次のとおりです。　

オーガニックの原則（国際有機農業運動連盟　IFOAM)

項目	基準
健康	人間だけに限らず、原料となる家畜や農産物、それを取り巻く土壌や微生物、昆虫まで健康であること
生態系	・自然界の動植物や微生物など、生態系の命を守り、生物多様性を保全すること ・生態系のバランスを崩さないこと
公正	・生産、販売、流通などに関わるすべての労働者から、消費者に至るまで、みんなが公正であること ・劣悪な環境下の労働や不公平な取引を防ぎ、すべての人が幸せであること
配慮	今だけでなく、未来を見据えて生態系や人間への健康に配慮していくこと

生産方法の基準（農林水産省）

項目	基準
有機農産物	・堆肥などを使って土作りを行い、種まきや植え付けの2年以上前から、また栽培中（多年生作物の場合は収穫の3年以上前から）は、基本的に化学肥料や農薬を使わないこと ・遺伝子組換えの種苗は使わないこと
有機畜産物	・ 飼料は主に有機飼料を与えること  ・ 野外への放牧などストレスを与えずに飼育すること  ・ 抗生物質等を病気の予防目的で使用しないこと ・ 遺伝子組換え技術を使用しないこと
有機加工品	・化学的に合成された添加物や薬剤の使用は極力避けること  ・原材料は、水と食塩を除いて、95％以上が有機農産物、有機畜  産物、有機藻類又は有機加工食品であること  ・薬剤により汚染されないよう管理された工場で製造を行うこと  ・遺伝子組換え技術を使用しないこと

オーガニックの目的は環境への負担を減らし、人間の体に入るものも自然に近い状態にすることです。

オーガニックは人や環境、未来に配慮した持続可能な方法で自然と共に健康的に暮らすための大切な考え方といえるでしょう。

　

日本の有機JASマークと海外のオーガニック認証の違い

有機JASマークは日本独自の認証制度で、農林水産省が認可した第三者機関による認証が必要です。有機JAS認証の基準は海外のオーガニック認証と異なります。

日本の有機JASマークと海外のオーガニック認証の違いは次のとおりです。

国名	マーク	基準
日本 （有機JAS）		種まき又は定植の前2年以上化学合成農薬や化学肥料を使用していない田畑で栽培すること。栽培期間中も化学合成農薬や化学肥料を使用しないこと。遺伝子組換え技術を使用しないこと。農林水産省が認可した第三者機関による認証が必要
アメリカ （USDA）		USDAとは「United States Department of 　Agriculture（米国農務省）」の略称のこと農産物や食料品のオーガニック基準を定め、認証を行う全成分の95〜100%が有機栽培によって作られた原材料を使用している商品のみ認証される
オーストラリア （ACO）		オーストラリア最大の有機農法であるバイオダイナミック農法の認証機関。農産物やオーガニックフードの認定を行う団体として設立。有機農産物の安全性を証明する基準となっている。国内で流通する有機認証製品の70%以上につけられている
EU （EUオーガニック認定）		EUの有機農業規則にしたがって生産された農作物であることを証明するマーク　栽培から消費に至るまでの全ての過程において、EUの規定に則った周期的な検査を受けることが必要加工品においては原料の95%以上がオーガニックであることを証明するもの
ドイツ （Bio-Siegel）		ドイツ政府が認定するBIOマーク約4,000の生産者による6,000点の商品が認められており、EUのBIOマークへの併記のみ可このマークがついている商品は化学調味料・香料・着色料などが不使用で、遺伝子組み換え原料の使用は全体の5%以上は禁止されている
ドイツ （demeter）		ドイツで最も古い民間のオーガニック認証機関哲学者のシュタイナーが提唱した、作物本来がもつ「生命力」を重視する有機農法「バイオダイナミック農法」を推奨天体の動きに合わせて農作業を行うなど、自然の各国の政府が定めるオーガニック基準よりもさらに厳しい
フランス （ECOCERT）		世界最大級のオーガニック認証団体フランスのトゥールーズに拠点を置き、世界85ヵ国以上が加盟している。EUではオーガニック製品に関する法律が施行されており、認証には農薬や肥料だけではなく、土壌検査・保管場所・種子管理・添加物・広告物にまで規制がある
フランス （AB）		フランス政府が制定した有機農作物の証化学肥料や化学薬品の不使用、遺伝子組み換えによる肥料の禁止、最低3年間の有機農法が決められている1年ごとに抜き打ちの検査が行われる商品加工に至る全行程で添加物などを含まないことを認定した商品のみに与えられる
イギリス （Soil Association）		農家や科学者、栄養学者の団体によって設立されたイギリスでもっとも主要な有機認証機関「健康な土壌が健康な植物を育み、それが健康な体を生んでいく」という基本理念のもと、遺伝子組み換えや農薬、化学肥料に対しても厳しい基準を設けている植物原料の認定にもなっている

有機JASでは農薬や化学肥料の不使用期間が2年以上必要ですが、海外の認証制度では異なる期間が設定されていることがあります。

国際的な有機食品の取引では、各国の認証制度が互いに認め合うことや、基準が同じであることの確認が重要です。消費者も有機食品がどの国で作られ、どの認証マークがついているかを理解することが大切になります。

一般農産物と有機JAS農産物との違い

一般農産物と有機JAS農産物には、栽培方法や認証制度、生産管理などにおいて違いがあります。

一般農産物と有機JAS農産物の栽培方法や認証制度、生産管理の違いは次のとおりです。　

栽培方法

項目	一般農産物	有機JAS農産物
栽培名称	慣行栽培	有機栽培
農薬	使用可	指定された天然農薬のみ使用可
遺伝子組換え技術	使用可	使用不可
肥料	使用可	化学肥料は使用不可（動物性、植物性の有機肥料は使用可）

認証制度

一般農産物	有機JAS農産物
特別な認証制度はない	・農林水産省に登録された認証機関による厳格な審査を受ける ・有機JASマークの表示が可能

生産管理

一般農産物	有機JAS農産物
特別な管理基準はない	・生産から出荷までの工程管理と格付数量などの記録の作成が求められる ・製造工場は、農薬や洗浄剤で汚染されないように管理されている必要がある

有機JAS農産物は化学肥料や農薬を使わない有機栽培です。遺伝子組換え技術も使用せず、天然農薬のみを使用します。

また、農林水産省の登録認証機関による厳格な審査を受け、「有機JASマーク」の表示が可能です。さらに、製造から出荷までの工程管理が必要です。一方、一般農産物にはこうした制限や特別な認証制度はありません。

一般農産物と有機JAS農産物の違いは、消費者が食品を選ぶ際に、生産過程や背景を知る上でとても重要な要素になるのです。

オーガニック食品を選ぶメリット

オーガニック食品を選ぶことは、健康や環境、食品の安全性において多くの利点があります。

次に、オーガニック食品を選ぶメリットについて詳しく解説します。

身体に優しい健康効果がある

健康的な食生活を送るためにオーガニック食品を選ぶことで、多くのメリットが得られます。

農薬や化学肥料の使用が制限された生産方法によって化学物質や有害な金属の摂取リスクを抑えること可能です。

豊富なビタミンや抗酸化物質を含む自然な食材で抗酸化成分の摂取量を20%から40%増やすことができ、さらに免疫力を高める効果も報告されています。

このような食材を選ぶことで、身体への負担が減り、より健康的な食事を楽しむことができるでしょう。

環境負荷が抑えられる

オーガニック食品を選ぶことにより、環境負荷を大幅に軽減できます。

化学肥料や農薬の使用量を抑えるオーガニック農法によって土壌や水資源の汚染を防ぎ、生物多様性も守られます。また、温室効果ガスの削減効果も期待できるでしょう。

オーガニック農法は環境を守るだけでなく、健全な土壌を作り持続可能な農業を実現します。

日々の食生活でオーガニック食品を選ぶことが、地球全体の未来を守ることにつながるでしょう。

食品の安全性が高い

オーガニック食品を選ぶことで、より安全な食事を楽しむことができます。

農薬や添加物、遺伝子組み換え技術を使用していないため、化学物質によるリスクが低いです。また、天然原料による農薬の使用で細菌が抗生物質に対して抵抗力を持つリスクも抑えられます。

オーガニック食品は科学農薬や添加物を使用しないため一般の食品よりも安全性が高く、健康リスクを低減できる選択肢の一つといえるでしょう。

オーガニック食品のデメリット

オーガニック食品には価格が高く見た目が不揃い、保存期間が短いなどのデメリットがあります。

次に、それぞれのデメリットについて詳しく解説します。

価格が高い

一般的にオーガニック食品は、慣行栽培の農産物に比べて割高です。その理由は、有機栽培の手間や収穫量が少ないこと、認証取得コストなどです。

価格が高くなる具体的な理由は次のとおりです。

しかし、価格が高いのはより自然な環境での栽培だからこそであり、健康や環境保護のためのコストと捉えることができます。

長期的には医療費の削減につながる可能性もあり、決して高くない買い物といえるでしょう。

見た目が不揃い

オーガニック食品売り場を訪れると、形やサイズが様々な商品が並んでいます。

農薬や化学肥料を使わずに自然な方法で栽培されるため、形や色にばらつきが生まれるためです。

スーパーマーケットではオーガニック野菜や果物が一見きれいではないため、消費者が選びにくくなることがあります。

形が不揃いなのは化学肥料や農薬を使用せず、自然な方法で育てられた証拠です。オーガニック食品を選べば体に優しく、安心して食事を楽しめるようになります。

保存期間が短い

オーガニック食品は、一般の食品と比べて保存期間が短いです。

通常の食品は食品の鮮度を保つため保存料を使って製造されていますが、オーガニック食品では使われません。農薬や化学肥料を使わずに栽培されることも影響しています。

例えば、オーガニックのパンであれば数日しか持ちません。一方、保存料や添加物が入ったパンは一週間以上保存可能です。しかし、短い保存期間は必ずしも悪いことではなく食材の鮮度や新鮮さを保証する目安といえるでしょう。

短い保存期間に対応するにはこまめな買い出しや、食品に合った保存方法をすることで食品ロスを減らしつつ、新鮮で栄養価の高い食事を楽しむことができます。

オーガニック食品を賢くお得に買うコツ

オーガニック食品は品質が良い分価格が高めですが、工夫次第でお得に購入する方法があります。

次に、オーガニック食品を賢くお得に買うコツについて詳しく解説します。

旬のものを選ぶ

旬のものはたくさん出回り値段も手頃になるため、オーガニック食品をお得に買うことが出来ます。

具体的な旬の食品は次のとおりです。

オーガニック食品店舗で旬の食材を中心に購入することで、栄養豊かで美味しい食材をお得に手に入れられます。

プライベートブランド商品を活用する

プライベートブランド（PB）を利用すると、オーガニック食品をリーズナブルな価格で手に入れられます。

PB商品は開発コストを抑えられるため、通常のオーガニック製品より価格が抑えられるからです。

例えば、イオンの「トップバリュグリーンアイ」シリーズは、オーガニック&ナチュラルをテーマにした手頃な価格の商品を揃えています。

PB商品は、高品質なオーガニック商品を手頃な価格で日用品から食品まで幅広く揃えているため、積極的に利用するとよいでしょう。

見切り品を覗いてみる

見切り品コーナーを確認すると、普段は手が出ないオーガニック食品を購入できる事があります。

見切り品は、鮮度や品質が低下し始めた商品を在庫処分するために値段を下げています。通常価格よりも安く購入でき、食品ロス削減にも貢献できます。

夕方以降にスーパーの見切り品コーナーを確認すると、オーガニック食品の見切り品を見つけやすいです。

買い物する時は見切り品コーナーに立ち寄り、オーガニック食品があるか確認してみましょう。

産直販売やネット通販を利用する

産直販売やネット通販を利用すると、オーガニック食品をお得に購入しやすいです。

産直販売やネット通販は中間業者を介さないため、新鮮な商品を低価格で販売できるからです。

生産者と直接やり取りができる「食べチョク」や、安定価格でオーガニック商品を提供している「大地を守る会」などのサービスがあります。

ネット通販では豊富な品揃えから自宅で簡単に注文ができて定期便割引やポイントなどが魅力です。また、生産者のストーリーを知ることで、満足度の高い購入体験ができるでしょう。

オーガニック食品を始める際のおすすめ食材

初めての方でもオーガニックを始めやすい食材があります。

次に、おすすめの食材をご紹介します。

手軽に取り入れやすい野菜や果物

食材にはそれぞれ旬の時期があり、価格も手頃です。

オーガニック食品を始める際は以下の表にある手軽に取り入れやすい旬の食材を選ぶと良いでしょう。

時期	食材
4〜6月	【野菜】そら豆、絹さや、スナップエンドウ、トマト、とうもろこし、ピーマン、きゅうり、なす、ズッキーニ、カラーピーマン、サラダ南瓜、セロリ、アスパラガス、らっきょう、モロヘイヤ、枝豆、ヤングコーン、ししとう、空芯菜、南瓜、オクラ、青梅 【フルーツ】グレープフルーツ、びわ、ブルーベリー、メロン、小玉すいか、さくらんぼ
7月〜9月	【野菜】つるむらさき、レタス、パプリカ、ビーツ、冬瓜、新生姜、さつま芋、かぼす、いんげん、南瓜、カリフラワー 【フルーツ】ぶどう、マンゴー、すもも、もも、ホームランメロン、種なし柿
10月〜12月	【野菜】黒豆枝豆、モロッコインゲン、ケール、白ねぎ、銀杏、小かぶ、白菜、里芋、銀杏、金時人参 【フルーツ】梨、みかん、りんご、ラ・フランス、レモン、青柚子、柚子、かぼす、柿、キウイフルーツ、かりん
1月〜3月	【野菜】菜の花、ルッコラ、クレソン、たけのこ、スナップエンドウ、チンゲン菜、ラディッシュ、白菜、わさび菜、わらび、新じゃが芋、新玉ねぎ 【フルーツ】いちご、はっさく、ネーブル、ポンカン、金柑、不知火、甘夏、伊予柑、清見オレンジ、ブラッドオレンジ、日向夏、ふじ、王林、キウイフルーツ

旬の食材は栄養価が高く価格も手頃なため、オーガニック食品を始めるのに最適と言えます。季節に合わせて取り入れることで無理なく続けることができるでしょう。

日常的に使う調味料

オーガニック食品を始める際、日常的に使用する調味料から変えていくことがおすすめです。

基本調味料「さしすせそ」をオーガニック製品に切り替えることで、より健康的な食生活を実現できます。「さしすせそ」の中身は次のとおりです。

「さしすせそ」のオーガニック調味料は化学的な精製過程を経ていないため、ミネラルなどの栄養価が残されており体に優しい特徴があります。

例えば、有機砂糖にはミネラルが豊富に含まれ、有機醤油は伝統的な製法で作られることで深い旨味が特徴です。また、有機味噌は発酵食品として健康効果も期待できます。

まずは、普段よく使う調味料から順次オーガニック製品に切り替えていくことで、無理なく健康的な食生活を始めることができるでしょう。

その他おすすめ食材

基本的な調味料の他にも使用頻度が高いものや、あると重宝する食材があります。

その他のおすすめの食材は次の通りです。

食材	使用用途
パンプキンシード、ナッツ類	栄養価が高く、おつまみやお菓子の材料として使えます
有機レモン汁or純国産クエン酸	飲料やお料理に幅広く使えます
天然色素	安心してお菓子作りなどに使えます
ケチャップやソース	「さしすせそ」以外の基本調味料としてあると重宝します

ケチャップやソース類は使用頻度が高いので、揃えておくと便利です。有機レモン汁や純国産クエン酸は料理のアクセントになるほか、炭酸水などと混ぜて飲料としても楽しめます。

パンプキンシードやナッツ類、天然色素などは、料理に彩りや食感、風味をプラスしてくれるので、自分のレパートリーに合ったものから揃えてみましょう。

まとめ 

オーガニック食品は健康や環境に配慮した選択であり、意味や価値は十分にあります。化学物質や添加物を避けることで健康リスクを低減し、持続可能な農業に貢献できるでしょう。

旬の食材やプライベートブランドを活用したり、調味料をオーガニックに変えたりするだけで安全で健康的な食生活に近づきます。

オーガニック食品は、自然を大切にするライフスタイルへの第一歩です。ぜひ、生活に取り入れてオーガニック生活を楽しんでください。